みなさんお世話になっております。
中古住宅をリフォームして暮らすことへのイメージを向上させるために日々頭を悩ませている、暮らし家の橋口です。
家づくりをお考えの方は特に感じているかもしれませんが、近年の建築費用の高騰は凄いことになっています。
内外部の事情による資材の高騰。
人手不足による人件費の値上げ。
それに加えて運搬や処分費など、値上がりしていない物はないのでは?
以前は会社員として住宅業界にいましたが、あまりにも高くなり過ぎて、お客様に新築を建てることを勧めることがことが出来なくなってしまいました。
子供が小さい時期はあまりお金は掛かりませんが、高校や大学に進むにつれ、家計の出費はなかなかのものです。
私の家庭の話にはなりますが、子供が県外の大学に進学したため、毎月の支払いはビックリする額になってます。
それでも何とか大学に行かせることは出来ましたが、今現在の建築費用で家を建てていたら、間違いなく大学進学は無理でした。
そのような自分自身の原体験もあり、新築戸建てにこだわる風潮に危機感を覚えてます。
そもそも人類史を振り返っても、新築戸建てが当たり前の状況は、かなり異常なことです。
新たに家を建てる人は、一部のお金持ちか時の権力者しかいなかったのです。
それ以外の人達は今で言う、借家か中古住宅のリフォームが当たり前です。
家を所有すること自体が珍しいと思います。
まずは、新築戸建てが当たり前の今の世の中の方が異常なこと。
と、事実を客観的に捉えることが重要だと思います。
だからこそ暮らし家は新築ではなくリフォームと小屋づくりをメインにしています。
話は一旦逸れますが、暮らし家のことを少し。
先日、会社らしく「ミッション・ビジョン・コンセプト」を分かりやすく言葉にしてみようと思いました。
【ミッション】~社会的な使命・役割~
●実感のある充実した暮らし方を示す
【ビジョン】~将来的に実現したい理想・目標~
●家の価値が暮らし方で決まる未来
【コンセプト】~全体を貫く考え方~
●住む「モノ」から、暮らす「コト」へ
ミッションは過去で、ビジョンが未来、それを繋ぐコンセプトといった感じです。
今回は詳しくは説明しませんが、これを伝えることで暮らし家の考えは大まかに理解していただけると思います。
「暮らし」を考えた時に、新築で家を建てることが金銭面で危険な人が増えることは十分に考えられます。
住宅ローンも50年ローンってのが出てきました。(終わるの何歳?)
容赦なく住宅ローンを組ませてくる営業マンもいますので冷静にご計画を。
特に人生にはお金のかかる時期とかからない時期があります。
お金がかからない時期を目安に計画を立てることは危険ですので注意が必要です。
着工棟数も年々減少しており、ここ数年で8割減というリアルなデータも出ています。
決してリフォームを増やす為に危機感を煽ったり、ポジショントークをしているわけではありません。
しかしその様な状況でもリフォームにシフトする動きは鈍いままです。
もちろん以前よりは都市部を中心に活発になってきてはいますが、まだまだの状況です。
そこで、その要因を客観的に、そして業界にいたからこその目線で紐解いてみました。
もちろん全ての地域に当てはまらないかもしれませんし、私が関わった範囲が内容に反映されているかもしれません。
それでも精度は高いと思います。
ビジネス用語にはなるかもしれませんが、ミクロとマクロでの判断です。

《中古リフォームが増えない理由》
中古リフォームの普及に時間がかかっている要因は、大きく分けると以下の3つになると思います。
①リフォーム業を行う人が少ない
②仕組みや取り組みが新築戸建て中心
③様々なことが不透明で一歩踏み出しにくい
【リフォーム業を行う人が少ない】
建築業界の人に、「新築とリフォームどちらの仕事をしたいか?」と聞いたら、ほとんどの人が「新築」と答えるでしょう。
そのため「リフォームの時代だよね」と言われて10年以上経ってますが、進んでリフォームをメインにする人はなかなか増えません。
その理由は、リフォームは面倒で難しい。
しかも解体してみないと分からない部分が多い。
解体後に、お客様との方向性の再確認が必要な場合もあり、計画が立てにくいため利益を計算しにくい。
「解体してみたらビックリ!」
結局構造の補強工事が必要ってこともあります。
要は時間とリスクの割に利益の計算が立てにくい。ということです。
その他にも知識が必要で、それも様々な知識やスキルが必要ということです。
ここに関しては、どのようにリフォーム業に携わって行くかで変わってきます。
折角ですので、住宅建築のそれぞれの役割を見て行きましょう。
※順番に優劣はございません※
1.営業
2.工務(現場管理者)
3.設計
4.経理
5.広告
6.職人
この役割の分け方は一般的な形です。
営業のいない工務店もあるし、逆に営業だけして丸投げするスタイルの住宅会社も存在します。
または設計と工務を兼任したり、広告と経理を兼任している場合もあります。
例えば職人さんがリフォーム業をするとします。
その場合は、自分でお客様から直接仕事を貰って施工するパターンと、誰かが元請けになって施工だけするパターンが多いと思います。
暮らし家の場合は、1~6まで自分達で全てすることになります。
もちろん、より専門的なスキルが必要になる場合は協力業者さんと一緒にはしますが。
2人しかいないのに何故1~6まで自分達でするかというと、全てに自分達が携わらないと「ミッション・ビジョン・コンセプト」を貫けないからです。
なにかしら社会的な意味を感じて起業した人は、1~6の全ての知識が必要になります。
ほとんどのリフォーム業の方にはそこまで必要ないかもしれません。
しかし社会的な理由はないにしても、生活に必要な利益を出そうとしたら、新築以上に兼任をすることが増えてきます。
もちろん人数を増やして組織化している会社も沢山存在します。
傾向的な話にはなりますが、現場寄りの方はお客様とコミュニケーションを取ることを苦手とします。
逆に営業は現場に詳しい人は少ないです。
設計者も数字に強い反面、柔軟に対応出来る人は少ないです。
あくまで傾向で、全員がをそうではないです。でも業界の人は納得の内容だと思います。
そのため住宅建築従事者の多くがリフォームしたくないと思うはずです。
自分が得意ではない様々なスキルが必要で、利益の計算が立てにくく、面倒な仕事。
それがリフォームです。
建築が好きか、他にリフォームに魅力を感じていない限りしたがらないですね。
リフォーム部門のある住宅会社もありますが、本人の希望というより、適任だからと言う理由での配属がほとんどなのではないでしょうか?
そして住宅会社の人に、「大きなリフォームするぐらいなら、建て替えの方がいいですよ」と言われたことがある方も多いかもしれません。
もちろんベースとなる中古住宅と自分の要望を考慮した結果、建て替えの方が良い場合もあります。
ただし、多くの住宅会社の人達の本心は「面倒だから建て替えに話を持って行こう」が本音だと思います。
結局は他の理由もありますが、建築業に従事している本人たちの方がリフォームを望んでいないのです。
リフォームを欲しがる時は、新築の仕事がなくなった時だと思います。
これは自分が住宅業界にいたから感じた、データにはないリアルな内容です。
《仕組みや取り組みが新築戸建て中心》
国交省・経産省・環境省のロードマップ(国が目指していく方向性)の中で建築物は、これから更に高性能化を進めていく方針です。
詳しく知りたい方はコチラを参考にされて下さい。
https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/02.html
なぜそこまで高性能化が必要か一言で言うと、「環境の為」です。
目指す先には共感しますし、それぞれが自分なりに気を付けた方が良いことだとは思います。
そして建築はどうかというと、エリアや建物の大きさなどで変わる部分はありますが、性能の向上は必須になってきます。
「新築も中古住宅も性能を上げて、建築物の環境負荷を減らしていきましょう」ということです。
ちなみに自分の知人に、山の麓で環境に負荷をかけずに野性的に暮らしている人がいます。
これこそが「環境の為」の正しい姿だとは思いますが、私を含め、自分達に甘く都合良く解釈する現代人にとっては、自分の性能を上げることはしないので、建築物の性能を上げることが重要と考えられています。
北海道などの一部地域を除けば、新築で性能を出すのは可能です。
もちろん建築費用は上がりますが、暮らしていく中で必要なランニングコストは下がっていきます。
やっぱり難しいのは中古リフォームです。
新築ほどの性能を求められてはいませんが、結構古い家を国が定める基準までリフォームしようとすると、ほぼ建て替えです。
その家の状態次第では「無理ゲー」の可能性もあります。
ここまで来ると見えてくる会話は当然ながら、「じゃあもう建て替えよっか」ということですね。
建て替えコースいっちょ上がりです。
家の性能が上がって環境負荷は減りますが、建て替えると言う大きな環境負荷を生み出します。
これは合ってるのか?
併せて性能だけでなく、構造の制限も厳しくなってきているので難易度はどんどん上がっていきます。
タチが悪いと思うことは、誰も変なことを言っていないってとこです。
変だとすれば話の前提が、「生物としての性能向上」ではなく、「外側の性能向上」ありきってところぐらいですかね。
《様々なことが不透明で一歩踏み出しにくい》
部分リフォームにしろ、中古リフォームにしろ、リフォーム工事には不透明な部分が多いです。
ここがリフォームが普及しきらない1番の原因で、暮らし家が取り組みべき課題だと考えています。
先に述べさせていただいた、「リフォーム業を行う人が少ない、仕組みや取り組みが新築戸建て中心」という内容は、自分達にとっては規模が大きすぎる問題なので自分達だけの力では何とも出来ません。
しかし、この「不透明問題」に関しては、何かしら出来るかもしれません。
ここが暮らし家を起業した1番大きな理由で、勝手に使命感を抱いている所です。
この問題を解決出来れば、もっと暮らし方に目が向くような気がします。
ビジョンでもある「家の価値が暮らし方で決まる未来」に大きく近づくと思います。
【不透明な内容】
●物件の見極め方が分からない
●計画から完成までの流れが分からない
●完成形がイメージできない
●リフォームで可能な範囲が分からない
●工期が分からない
●最終的な費用が分からない
●誰に依頼すればいいのか分からない
この辺が新築と違って分かりにくいところでしょう。
途中で面倒臭くなって新築に切り替える方もいるかもしれません。
最後の誰に依頼すればいいのか分からないが解決すれば、他の内容は一気に解決するかもしれません。
個人で調べていくことも可能なのかもしれませんが、かなり難しいです。
不透明さを解決するツールを作成して、もっと中古リフォームの難易度を下げていけるようにします。
ツールが出来れば家を建てたい人だけではなく、業者さんも使えるようになるはず。
そうすれば無理して新築を建てるという選択肢だけでなく、自分の人生に合った暮らしの為の家の可能性が広がると思います。
先は長いかもしれません。
それでも暮らし家が適任だと思いますので、勝手に頑張らせていただきます。
最後に建築業界に携わっていないけどDIYが好きな人。DIYに興味がある人。上手く出来ないと思っている人達に一言。
「下手だっていいじゃない。楽しければ。」
暮らし家は、暮らしを楽しむ人達の味方です。