今回のご相談は、既存の押入れのリフォーム。
お客様からいただいたご希望は、
「和室の雰囲気は崩したくない」
「でも、収納の中はしっかり通気させたい」
というものでした。
カビ対策や掃除を重視されるお客様です。
そこで今回は、既存の押入れを活かしながら、新しく枕棚を造作。
さらに、押入れの前には縦格子の造作建具をつくりました。
全部を新しくするのではなく、今あるものを残しながら必要なものを足していきます。
もともとの押入れからスタート
【着工前】

もともとは、昔ながらの押入れ。
上部の収納や柱、鴨居など、和室らしい木部がしっかり残っています。
この雰囲気を消してしまうのは、少しもったいない。
今回は既存の木部をなるべく活かしながら、新しい収納として整えていくことにしました。
ポイントは、
「新しくするけれど、新しく見せすぎないこと」
です。
まずは、収納として使いやすく。
【新しい枕棚・敷居を造作】

押入れの中には、新しく枕棚を造作しました。
収納するものに合わせて棚をつくり、建具を取り付けるための敷居も新設します。
リフォームというと見た目の変化に目がいきますが、まず大事なのは、
これからどう使うか。
見た目だけを整えるのではなく、収納としてちゃんと使いやすい状態をつくってから、建具を考えていきます。
敷居は新しく現場で造作しましたが、鴨居は元々の襖の物をそのまま活かしていきます。
和室に合わせて、縦格子の建具を。
【造作建具取り付け・塗装前】

今回つくったのは、縦格子の造作建具。
お客様からのご希望のひとつが、
「収納の中に湿気がこもらないようにしたい」
ということでした。
そこで、密閉する扉ではなく、空気が抜ける格子戸にしています。
そしてもうひとつ大切にしたのが、和室との相性。
周囲には既存の柱や鴨居、建具が残っています。
そこにまったく違うデザインを持ってくるのではなく、昔からこの部屋にあったように馴染む形を考えました。
縦格子にしたのも、そのためです。
塗料にも、暮らしている人への配慮を。
【塗装後の造作建具】

建具の仕上げには、**オスモカラー(OSMO COLOR)**を使用しました。
暮らし家では、木部の仕上げに自然系の塗料を使うことを基本にしています。
今回のお宅は、工事中も普段通り生活されているお住まい。
さらにワンちゃんも一緒に暮らしています。
だからこそ、仕上がりの色や質感だけではなく、
住みながら工事をすること。
人だけでなく、動物も同じ空間で暮らしていること。
そこまで考えて材料を選びます。
木そのものの表情を残しながら、周囲の既存木部にも馴染むよう、自然な仕上がりにしました。
完成。新しいけれど、もともとあったように。
【完成・斜めから】

完成した縦格子の建具。
新しくつくった部分ですが、周囲の柱や鴨居と合わせることで、和室の中に自然に馴染みました。
格子の隙間から空気が通るので、収納内部の通気も確保できます。
閉じているけれど、完全には閉ざさない。
見た目と機能の両方を考えた建具です。
【完成・正面】

正面から見ると、縦格子のリズムがよりよく分かります。
派手なデザインではありません。
でも、この家にはこれくらいがちょうどいい。
リフォームだからといって、何でも新しく見せればいいわけではないと思っています。
今までこの家にあったもの。
これからも残したい雰囲気。
そこに、新しく必要になった機能をどう足していくか。
今回は、
和の雰囲気を残すこと。
収納の通気性を確保すること。
暮らしている人やワンちゃんにも配慮した材料を使うこと。
その3つを考えながら、押入れをつくり直しました。
残すものと、足すもの。
リフォームでは、
「全部新しくしてください」
というご相談ばかりではありません。
むしろ、
「ここは気に入っているから残したい」
「この雰囲気は変えたくない」
という話から始まることもたくさんあります。
そんなとき、自分たちが考えるのは、
何を残して、何を変えて、何を足すか。
今回の和室も、もともとの良さは残したまま。
必要な収納と建具だけを、新しく加えました。
家全部を変えなくても、今の暮らしに合うように少し手を加えるだけで、また気持ちよく使える場所になります。
暮らし家では、そんなリフォームも大切にしています。